「聴く」「読む」「歌う」「書く」が音感を磨く

こう書いてみると、音感の向上は語学に似ています。
「読む」のは楽譜を読むことですね。文法と同じように、音楽を書き留めるためのルールを学ぶ必要があります。
「歌う」は、聴いたものをそのまま歌う。あるいは、楽譜に書いてあるものを読み取って歌うこともそうでしょう。
「書く」は音楽を楽譜に書き留めること。やはりきちんと楽譜のルールを知る必要があります。
そして「聴く」。言うまでもなく音楽を聴くことです。

「聴く」と「読む」はインプットであり、「歌う」と「書く」はアウトプットです。
正しくインプットができているかどうかは、アウトプットによってしか判別できませんし、アウトプットを繰り返すことでインプットの能力も向上していきます。
「読む」と「歌う」、「聴く」と「書く」は対になって向上するように、意識してバランスよく訓練していくと良いでしょう。

さて、「聴く」と「書く」の訓練のために行われるのが、「聴音」という練習です。
聴こえてくる音をそのまま楽譜にするというものです。

音楽大学を受験する際には「ソルフェージュ」という試験があって、音楽の知識が問われる「楽典」や、初めて見た楽譜をすぐにその場で歌う「新曲視唱」などがあります。「聴音」もそのひとつです。

聴音はある程度音楽に親しんでいる人であっても、はじめはなかなか手こずる課題です。
楽譜を読むことに慣れていても、いざ自分で書こうと思うと細部まで覚えていないものなんですよね。

私も音大受験の勉強のために一番苦労したのは聴音でした。
全く楽譜を書いたことがない人や、大人になってから音楽を勉強し始めよう、という方が、いきなり普通の聴音を試みるのはとても大変です。
ですので、聴音の初歩の初歩として、ここでは「穴あき聴音」を作ってみました。

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このカッコの中にも音符が入ります。
(拍子記号が書いてありませんが、これは4分の4拍子です)
この中の音符を埋めてみてください。
ヒントですが、カッコに入る音符の種類は4分音符だけです。

↑これが音源です。
通常、試験などでは聴音は6回や8回など、決められた回数流され、その間に楽譜をすべて書かないといけないのですが、これは例題なので、全部のカッコが埋められるまで何回でも聴いて構いません。

埋められましたか?
答えは以下の通りになります。

music-dictation-2

今回はすべて「ハ音」でした。これは簡単でしたね。

では、次の例題です。
次の問題では、「ハ」もしくは「ホ」が入ります。
ハ長調における「ド」もしくは「ミ」と考えて差し支えありません。
音符の種類は同じく4分音符だけですが、音が違うのでよく聴いてください。

music-dictation-1-01

さて、今回は少し難しかったですか?
答えは次のようになります。

music-dictation-3

聴音の答えが完成したら、自分で声を出して歌ってみましょう。
歌う場合は階名を使います。今回であれば「ド」と「ミ」の2種類の階名だけですが、その2つの音の幅がどれくらい離れているかな、というところをよく意識してみてください。

最初は音源を聴きながら歌って、慣れたら何も聞かないで歌いましょう。
自分が歌ったものを録音して、ちゃんと音程が合っているかまで確認できれば最高ですね。

聴音の練習で一番大切なことは「めげないこと」です。あとは「たくさん課題をこなす」こと。
気軽ではないですが、頑張って練習してみてください。

練習問題

2パターンの問題を用意しました。
同じ穴の抜けた楽譜が5つありますが、音源は5種類それぞれ違うものです。
楽譜が完成できるように、空いている部分を埋めてみましょう。

・課題楽譜

練習問題5-1問題

・問題1

使う音符はすべて4分音符です。
今回はハ長調とし、空いている場所に入る音は「ハ」「ホ」「ト」の3種類。
階名はそれぞれ「ド」「ミ」「ソ」になります。
また、休符が入る可能性もあります。その場合は4分休符です。
4分の4拍子ですから、1小節には必ず音符と休符合わせて4つ入ります。

音源は最初に主和音(ドミソ)の和音が4拍分流されます。
4拍おいて、問題が流れますのでよく聴いて書いてみてください。

・問題2

次の問題はへ長調の課題です。
空いている箇所に入るのは「へ」「イ」「ハ」の3種類。階名をつけると今回も「ド」「ミ」「ソ」になります。
この説明で混乱する方は、もう一度「音名と階名」の項を読み返してみましょう。
また、こちらの問題も休符が入る可能性があります。4分の4拍子であることも最初の問題と同じです。

手持ちの五線譜に書き写しても、これを印刷しても大丈夫です。
上のカッコに埋めるように書きましょう。

もしこれらの問題がとても簡単に出来るようであれば、まっさらな五線譜に全部イチから書いてみましょう。
ト音記号はどこに書くのか、楽譜の一番最後はちゃんと終止線になっているか等、わかっているようでわかっていなかったことに気付くかもしれません。

答えはこちらのページにあります。

→練習問題の答え

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